シャンパンの産地シャンパーニュ地方の基礎知識まとめ

シャンパン

シャンパンの産地シャンパーニュの基礎知識

フランス北東部に位置するシャンパーニュ地方は、フランスの主なワイン産地の中で最も北にあります。シャンパーニュ地方は、大陸性気候と大西洋気候の両方の影響を受けるエリアのため、冷涼ながらも適度な降雨量と十分な日照があります。

シャンパーニュ地方は、「シャンパン」の愛称で呼ばれる高級スパークリングワイン「シャンパーニュ」の産地として、よく知られていますね。シャンパーニュ産の指定のブドウ品種を使って、フランスのワイン法で規定された指定の製法で造られたものだけが、「シャンパン」の名称を使用可能。ラベルには必ず「Champagne」と表記されています。

よく使われるブドウ

シャンパーニュ地方で栽培されている主なブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3種です。

この他、シャンパンに使用が認められている品種として、アルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ・グリ、ピノ・ブランがありますが、これら4種を合わせても栽培面積全体の1%未満にすぎません。ここからは、各品種の特徴を解説します。

●シャルドネ
主にコート・デ・ブラン地区で栽培。アッサンブラージュ(ブレンド)では、爽やかさやエレガントな印象を与え、豊かな酸が長期熟成を可能にします。

●ピノノワール
主にモンターニュ・ド・ランス地区とコート・デ・バール地区で栽培。白ワインの状態の時から、チェリーやラズベリーなど赤い果実のアロマを感じます。アッサンブラージュによって、ワインに奥行きとコク、力強さが生まれます。ロゼ用の赤ワインとしても使われます。

●ピノ・ムニエ
主にヴァレ・ド・ラ・マルヌで栽培。フルーティで柔らかく、ピノ・ノワールとシャルドネの繋ぎ役として、補助的に使われます。

●アルバンヌ
シャンパーニュ地方に存在する古代品種。ブドウの熟し方は遅いものの、糖度は高いのが特徴です。夏の暑さに恵まれた年は、華やかさがさらに際立ちます。

●プティ・メリエ
シャンパーニュ地方に存在する古代品種。暑さが厳しい年でも高い酸を維持することができます。フレッシュなリンゴのニュアンスを感じる軽やかな味わいです。

●ピノ・グリ
かつてはブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方で広く栽培されていた品種。収量が低く不安定なため、栽培量が減少しました。ソフトで穏やかな香りが特徴です。

●ピノ・ブラン
主にコート・デ・バール地区で栽培。リンゴや柑橘類、白い花のアロマと、やわらかい果実味が特徴です。

おすすめのワイン/ワインジャンル

シャンパーニュ地方には、約5,000軒の生産者が存在しています。多種多様なシャンパーニュの中からお気に入りの1本を選ぶ時に役立つ、主なジャンルをご紹介します。

●ブラン・ド・ブラン
「白の中の白」という意味で、シャルドネ種のみから造られる単一品種のシャンパンです。

●ブラン・ド・ノワール
「黒の中の白」という意味で、黒ブドウのピノ・ノワールとピノ・ムニエの単一品種から造られます。果皮の部分は使用しないため、赤ワインのような色はつきません。

●ロゼ・シャンパン
黒ブドウの果皮を果汁に漬け込んで、ブドウの色素を抽出するセニエ法(マセラシオン法)によって造られます。美しいピンク色に仕上がり、豊かな香りとコク深い味わいが特徴です。少量の赤ワインをブレンドして色を付けるアッサンブラージュ法は、シャンパーニュ地方にだけ認められています。

シャンパーニュ地方の押さえておきたい地区

シャンパーニュ地方のワインにも格付けがあり、最高ランクのグラン・クリュ(特級)には、17の村が指定されています。

グラン・クリュは、「モンターニュ・ド・ランス」、「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」、「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」の3つの地区に集中していて、その中でも次の9つの村が特に高く評価されています。

地区名 村名
モンターニュ・ド・ランス地区 ヴェルズネイ
アンボネイ
ブジー
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区 アイ
コート・デ・ブラン地区 シュイイ
クラマン
アヴィーズ
オジェ
ル・メニル・シュール・オジェ

シャンパーニュワイン/シャンパンの選び方

グラン・クリュ(特級)には17の村、プルミエ・クリュ(一級)には42の村が指定されています。数多くのシャンパンの中から、美味しくて特に品質の高いものを選ぶための、2つのポイントを解説します。

大手メゾンから選ぶ

シャンパンの大手ブランドと言えば、モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、クリュッグ、ドンペリなどが世界的にも有名です。これらの生産者は「ネゴシアン・マニピュラン(N.M.)」と呼ばれ、外部から購入したブドウを使用してシャンパンを造っています。

一方、残りの大半の生産者は「レコルタン・マニピュラン(R.M)」と呼ばれる、 自社で所有するブドウ畑で栽培・収穫したブドウのみを使って、醸造までの工程を一貫して行っています。比較的小規模の会社が多いです。

ジュン
例えば、贈答品にはブランドイメージで高級感を増すためN.M.を、自分用には割安なR.Mを選ぶ、というのもひとつの考え方でしょう。

味わいから選ぶ

シャンパーニュには、瓶内2次発酵が終わった後に澱抜きをしてから甘みを足す、「ドザージュ」という工程があります。

含まれる糖分量によって辛口か甘口かが決まり、糖分量の違いがわかるようラベルに明記されているので、好みの味わいを選びやすいです。

Brut Nature(ブリュット・ナチュール):糖分が添加されていない辛口
Brut(ブリュット):糖分が、1ℓあたり12g以下
Sec(セック):中辛口
Doux(ドゥー):甘口

まとめ

スパークワインの代名詞的なシャンパンは、ついつい有名ブランドのものを選びがちです。

でも、産地やブドウ品種、製法の違いを知れば、好みや目的に合った手頃なシャンパンを選べるようになります。ぜひ参考にしてみてください。