フランスのジュラ地方、ジュラワインの特徴
ブルゴーニュ地方の東部からスイスとの国境付近に位置しているジュラ地方は、独特な風味を持つワインの産地として知られています。
「ジュラ」とはケルト語で「森」を意味する言葉です。ジュラ山脈とアルプス山脈の豊かな森林に囲まれた丘陵地帯で、フランスでは最も海から遠いエリアですが、地層から出土したアンモナイトの化石などから、古来は海底だったと考えられています。
半大陸性気候で、標高が高いため寒暖差が大きく、ブドウの栽培に適した気候です。伝統的でオリジナリティあふれる、個性的な味わいがジュラワインの特徴です。
黄色いワインのヴァン・ジョーヌなどを醸造
ジュラ地方では、「ヴァン・ジョーヌ」と呼ばれる黄色みを帯びた独特なワインが造られています。「ジョーヌ」とはフランス語で「黄色」という意味で、ジュラ地域固有のサヴァニャン種から造られる、ジュラ地方限定のとても個性的な白ワインです。
「ヴァン・ジョーヌ」は、酸味やミネラル分を豊富に含んでいて、シェリー酒や紹興酒を思わせるような、独特の甘くスパイシーな香りがあります。
最も高く評価されているのが「シャトー・シャロン」で、ブルゴーニュ地方の「ムルソー」や「モンラッシュ」、ボルドー地方の「シャトー・ディケム」などと並んで、フランスの5大白ワインの一つに数えられています。
「ヴァン・ジョーヌ」は、ブドウの糖分が完全にアルコールに変わるまで発酵させるため、極辛口のワインに仕上がります。熟成期間は最低6年間で、蒸発などによって目減りした分の補充や、澱引きは一切禁止です。
熟成中のワインの表面には「フルール・デュ・ヴァン(ワインの花)」と呼ばれる皮膜が形成されます。膜を張ったワインが適度に空気に触れることによって、徐々にワインが酸化熟成していき、黄色みを帯びた独特の風味となります。この醸造方法は、ワインの入った樽をセラーに置き忘れてしまったことがきっかけで、偶然に生まれました。
伝統性のあるワインも多い
「ヴァン・ジョーヌ」の他にも、ジュラ地方では伝統的なワインが造られています。「ヴァン・ド・パイユ」と呼ばれるワインもそのひとつです。
「麦わらのワイン」という意味を持つ名前の通り、「ヴァン・ド・パイユ」はブドウを藁の上で乾燥させることによって、糖分を凝縮させてから造られます。濃い色合いと強い甘みが特徴的で、デザートワインとして楽しまれています。
また、「マクヴァン・デュ・ジュラ」と呼ばれる、発酵前のブドウ果汁にマール酒を加えて造られるリキュールワインもあります。
代表的なブドウ品種
ジュラ地方のワインに使われるブドウ品種は、プールサール、サヴァニャン、トルソー、ピノ・ノワール、シャルドネの5つです。その中から、特によく使われる3つのブドウ品種を、赤ワインと白ワイン別にご紹介していきます。
赤ワイン
●プールサール
ジュラ地方に古くからある土着品種で、ジュラ地方の赤ワインの約80%はプールサールから造られています。アルコール度数は高く、淡い色の繊細で香り豊かなワインとなります。
●トルソー
ジュラ地方の重要な品種のひとつですが、栽培面積はわずか5%ほどと少ないです。色が濃く、力強く長期熟成が可能なワインに仕上がります。
白ワイン
●サヴァニャン
ジュラ地方の黄色いワイン「ヴァン・ジョーヌ」の原料として有名です。通常の白ワインの原料としても使われ、コクのある果実味とアーモンドのような香ばしさを感じるアロマが特徴のワインが生まれます。
まとめ
ジュラ地方には伝統的なワイン「ヴァン・ジョーヌ」や「ヴァン・ド・パイユ」をはじめ、手間暇をかけて造られる独特な特徴を持った高品質なワインがあります。
コンテチーズと合わせるのが、私のおすすめです。他の産地のワインでは味わえない、ジュラワインの個性的な味わいを楽しんでみてください。